Zeeee!の新ルアー「セイラン130F」:キャスティングスタッフ外山桂大が開発に挑む

Zeeee!の新ルアー「セイラン130F」:キャスティングスタッフ外山桂大が開発に挑む

セイラン130F、ついに発売!

Zeeee!の第4弾ルアー、セイラン130Fがついに発売されました。このルアーの開発を主導したのは、キャスティングスタッフの外山桂大さん。彼の監修のもと、セイラン130Fにはどのようなこだわりが込められているのか、詳しく掘り下げてみましょう。

機能重視の設計

外山さんは、機能が先でデザインは後からついてくるという方針で開発に臨みました。セイラン130Fは、シーバスフィッシングの王道とも言えるリップレスルアーです。外山さんは、形状やルアーのタイプよりも、必要な性能を明確にすることを重視しました。

「正直、形状やルアーのタイプはそこまで意識していませんでした。『こういう性能のルアーが欲しい』というニーズがクリアされていれば、どんな形でも良かったんです。具体的には、こんなシチュエーションでこういう意図で使いたくて、泳ぎの質、泳ぐレンジ、これくらいのサイズ感だよね、というイメージをデザイナーの人に伝えました」と外山さんは語ります。

現場の経験とデザイナーの技術

現場での経験や知見を基に、デザイナーが形にしました。幾度となくやり取りが行われ、最終的にセイラン130Fが誕生しました。Zeeee!の既存ルアー、サーフェイスコントローラー80、118F、リバンク99Fは表層系のルアーですが、セイラン130Fはそれらよりも下のレンジを探れるように設計されています。

「サーフェイスコントローラーは水を受け流し、リバンクは水を受けて動くルアーなので、その中間のアピール力のアクションを重視しました。そういった要素を突き詰めていくと、サーチベイトとしての機能が備わりつつも、しっかり喰わせ切る力もついてきました。結果として、かなり喰わせ要素も強いリップレスミノーに仕上がりました」と外山さんは説明します。

パイロットルアーとしての要素

セイラン130Fは、これまでのZeeee!ルアーと被らない性能を持っています。そのため、明確なローテーションが組み立てられます。外山さんは、人間目線ではなく魚目線でルアーを作ることを重視しました。シーバスゲームにおけるパイロットルアーに求められる要素は以下の通りです。

  • ポイントについて最初に投げるルーティーン的な存在
  • 流れの変化、強弱を感じ取れること
  • 近くも探れて、遠投性にも長けていること
  • 水深を計るための指標
  • ベイトの有無を見つつ、そこの魚が口を使ってくるのか?ベイトサイズにルアーが合っているのか?

東京湾奥の現状

東京湾奥では、シーバスは人やルアーを見慣れており、ただ遠投して届かせるだけ、ただ泳がせるだけでは口を使わせることができないのが現状です。外山さんは、よく飛んでよく泳ぐだけでは今の魚は釣れないという認識のもと、魚から見て正しい性能を持ったルアーを目指しました。

「よく飛んで、見た目や泳ぎ性能が抜群といった、人間目線で見た性能が100点のルアーであっても魚に対してはどうなのだろうか? ということを開発段階からテーマにしました」と外山さんは述べています。

絶妙なフォルムと性能

セイラン130Fは、これまでのZeeee!ルアーよりも下のレンジ、水面下20~90cm程に潜航深度を設定しています。これにより、既存モデルとのローテーションで対応レンジの大幅な拡張に成功しました。アクションは、キビキビした動きではなく、『ヨタヨタ・フラフラ・ヌルヌル』といった質感を追求しています。スロー域ではロール主体からウォブリングが出始め、水流を強く当てていくとウォブリングが強くなる設計です。

外山さんは、ボリューム感にもこだわりました。「一番最初に上がってきたサンプルは今よりもボディがファットで、東京湾奥で使うにはボリュームがあり過ぎた。だから、ちょっとボリュームを下げてもらい、パイロットルアーとして使いやすくしました。そしてややスリムにすることで飛距離もアップ。最初のサンプルは飛距離ムラも多かったですが、シェイプアップすることでそれも解消しました。これよりもスリムだと、今度はアピールが落ちて使用用途が限られてくる。スリム形状が欲しいわけではなかったですから。自分のイメージに合うボリューム感を求めていって、この形状になりました」と語ります。

2フックの採用

セイラン130Fは、ボディ全長132mmで2フックを採用しています。このサイズのルアーでは3フックが一般的ですが、2フックには明確な理由があります。

「サイズは130~140mmくらいというざっくりとしたイメージはありました。泳ぎの質とレンジ感を含めて、これくらいの大きさが欲しかったですね。そして2フックなのも意味がしっかりあります。3フックはフッキング率は高いんですが、ランディングでタモ入れしたあとにハリを外すのに時間がかかってしまう。魚をキャッチしてからリリースするまでにけっこう時間がかかるんです」と外山さんは説明します。

2フックであれば、釣れた後にリリースするまでの時間が短縮でき、時合いも逃さない。「昨今の東京湾のシーバス事情は、良い魚が釣れる時合いが短いんです。そのタイトな時間の中で、素早くフックを外してリリースし、どんどん手数を増やしていくために2フックにしました。フックサイズは#3。自分は#2でも良かったんですが、大きすぎると使いにくい方も出てくるかと思い、このサイズに落ち着きました」と外山さんは述べています。

水平のスイム姿勢

セイラン130Fで特にこだわったのが水平のスイム姿勢です。「東京湾奥の気難しい魚の口を使わせるのに、水平のスイム姿勢はとても重要な要素です。ただ、水平姿勢にこだわりすぎると、ルアーの他の要素をスポイルしかねないので、そこのバランスを上手く調整しながら開発を進めました。釣れるアクションを維持し、流れへの対応幅を確保しながらも、ベイトフィッシュのリアルな姿勢を実現しています」と外山さんは語ります。

浮力に関しても細かく指示を出しました。「フローティングではありますが、浮力はあまり強くないです。それは、水に馴染んで泳いで欲しいから。セイラン130Fは釣れると丸呑みしてくれることが多いですよ。浮力が低いから、ショートバイトでもちゃんと口に入ってくれる。浮力が強いとバイトを弾くこともあるんです。水に馴染みながらスイムするから、弱い吸い込むようなバイトもちゃんとかかるんですよね。ですので、使い方のコツとしては、ルアーを水に馴染ませるように引いてくること。ロッドの角度を上げればレンジも上がりますし、ロッドを下げれば1m以上潜る。レンジもいろいろ試しながら、どんどん投げ込んでみてください」と外山さんはアドバイスします。

おすすめカラー

外山さんがイチオシする3つのカラーは以下の通りです。

  • プロトタイプ:その名の通りプロト段階からある色。このカラーでずっとテストしていて釣果もよく出ているので、まず使って欲しい。東京湾奥のナイトゲームでは、チャートバックでパールボディはベーシックに使える。
  • スケルトンハク:これは他のルアーでも採用している、自分が考案したオリジナルカラー。東京湾奥ではチャート系が人気だが、そればかり投げているとスレてくる。そこで、クリア系も入れることで差がつく。
  • マットピンク:サーフのフラットフィッシュに強いカラーで、ぜひこの色は入れて欲しい。ヒラメにもこのルアーは絶対に効く自信があるので、サーフに行くときはぜひこの色を使ってみて欲しい。

今後の期待

キャスティングの玄人精鋭スタッフたちが意見を出し合い誕生したセイラン130Fは、これからハイシーズンで活躍すること間違いなしです。すでに好評発売中なので、ぜひゲットしてこのルアーの実力を自身で確かめてみてほしい。

外山桂大(とやま・よしひろ)は、東京都出身で、釣具のキャスティング南行徳店に勤務しています。地元江戸川区のあらゆる釣りに精通し、東京湾奥のシーバスフィッシングにおいてはプロ級の腕前を持っています。その豊富な経験値を買われてZeeee!ブランドの開発メンバーに選出されました。