ユーミンの直筆歌詞を刻む:植村直己を讃える歌碑プロジェクト

3ヶ月前

兵庫県豊岡市で、シンガー・ソングライターの松任谷由実さんが書いた「星のクライマー」の歌詞レリーフ(銘板)の設置プロジェクトが進行中だ。このプロジェクトは、冒険家・植村直己さんの出身地である豊岡市で、年内に植村直己冒険館に設置することを目指している。松任谷さんが直筆で書いた歌詞も届き、レリーフに刻まれる予定だ。

植村直己さんは1984年に北米最高峰のデナリ(マッキンリー)で消息を絶った。松任谷由実さんの妹分としてデビューしたシンガー・ソングライターの麗美さんが同年に発表したアルバムに「星のクライマー」が収録され、松任谷さん自身も2003年のアルバムでセルフカバーしている。

このプロジェクトの発案者は、元県職員の竹村英樹さん(61)。植村さんと同郷の豊岡市日高町出身で、高校も同じ県立豊岡高校を卒業している。在学中に植村さんの講演を聞き、「当時の豊高生にとって植村さんは誇りだった」と振り返る。

竹村さんは松任谷さんのファンで、植村さんが行方不明となった数か月後にリリースされた麗美さんのアルバムを購入。その歌詞に励まされてきたという。40年が経ち、植村さんのことが人々の記憶から薄れつつあると感じ、節目の今、「星のクライマー」のレリーフを設置し、来訪者に植村さんを思い出してもらうことを考えた。

昨年5月、松任谷さんと面識があるという関係者に手紙を託し、「ユーミンさんの歌詞を刻んだ歌碑を建てて、訪れる人に『星のクライマー』とともに、植村さんのことを記憶し続けてほしい」と依頼した。返事がなく、あきらめかけていたところ、今年5月に松任谷さん側から「詳しく話を聞かせてほしい」と連絡があり、実現に向けて動き出した。

同年代の豊岡高卒業生らに呼びかけて実行委員会を作り、資金集めを開始。9月下旬には松任谷さん直筆の歌詞が届いた。寄付は地元だけでなく、全国にいる植村さん、松任谷さんのファンから寄せられている。

「1通の手紙から、国民的な大スターとつながったことがいまだに信じられず、夢のよう」と竹村さん。「ユーミンファンにとっても聖地になるのでは。(松任谷さんの)力を借りて、より多くの人に植村さんを思い出してもらえれば」と話している。

レリーフは冒険館の屋外に設置予定で、寄付は実行委のホームページで受け付けている。