日本の怪獣デザインは、グロテスクな方向に進むことは少ない。もちろん、『エイリアン』や『遊星からの物体X』の影響下にある怪獣も存在するが、愛嬌のあるルックスが主流だ。特に「友好珍獣ピグモン」は、その代表格として挙げられる。ピグモンは人間の子供程度の背丈(設定身長は1m)で、ピョンピョンと小さく飛び跳ねる様子が非常にキュートだ。
ピグモンは人間に味方し、翻訳機を介せば会話することも可能で、知能が高い。遭難した人間と遭遇した際には、食料や水の調達をしてくれ、凶悪な怪獣が迫れば危険を顧みず囮役を買って出ることもある。その自己犠牲の精神から、ピグモンに命を救われた人間は「怪獣の中にもこんな善良なやつを作った神を……僕は信じるようになりました」と語るほどだ。
ピグモンのデビュー作は『ウルトラマン』第8話「怪獣無法地帯」で、レッドキング、チャンドラー、マグラー、スフラン、そしてピグモンの5大怪獣が登場した。予算の関係で、ピグモンは前作『ウルトラQ』の隕石怪獣ガラモンの着ぐるみを改造して作られた。ガラモンとピグモンはデザイン的にほとんど同じだが、ピグモンのスーツアクターは子役の藤田修治さんに交代し、着ぐるみの首や足が延長された。
撮影やイベント展示でトゲが抜け落ち、再塗装されたため、ガラモンとピグモンの区別はつくが、非常にそっくりだ。劇中では、ピグモンとガラモンが似ている理由は説明されていない。ただし、他の怪獣も同様に既存の着ぐるみを改造して使用されており、最新作『ウルトラマンアーク』では、ネロンガ、ガボラ、パゴス、マグラーの4種類の怪獣が共通の祖先を持つと解説されている。これにより、ピグモンとガラモンの関係性も将来的に明かされる可能性がある。